──商都テュパン a prologue──

 ある大陸の西南部。大国が乱立する一地方に、グローエス五王朝と呼ばれる連立国家がある。
 中央をグローエス、北西をカルエンス、北東をクンアール、南東をオルス、そして南西側に広がる土地を治めているのがテュパン。この五王朝の中で、テュパンは唯一海と面している国である。
 通称『南海』と呼ばれるその海上を、留まることなく走る風達は暖かく、強い。
 そんな力強い空気の流れを帆一杯に受けて、一隻の船が澄んだ碧色の海に緩やかな波を立てて進んでいく。
 木造船の甲板。所狭しと積み上げられた輸送物資に埋もれるようにして甲板の縁から海を眺めていた貴方は、青く高い空から降り注ぐ陽光を遮るように軽く額の高さに手を掲げ、船が進む先を見据える。
 見えるのは、真昼の強い陽光に晒されて白く白く染まる街並み。
 商都テュパン。五王朝における海の玄関口だ。

 船から桟橋に渡されたタラップを伝って、久々の石畳を踏みしめる。文字通り、地に足がついた気分だ。
 最後の最後に船を下りたため、既に桟橋に人は居ない。軽く身体を伸ばし、深呼吸。そのままゆっくりと視線を巡らせる。
 翠色に近い色彩を持つ穏やかな海。建造物の殆どが白色に塗り固められた街並み。露店が雑多に並び人通りが絶えぬ港沿いの大通り。そして貴方が先程まで乗っていた船。
 軽く背嚢を抱え直し、都の方角へと足を向けたその時。
 都の方向から、何やら小さな影がまっすぐこちらへ向かって飛んでくる。
(なんだ……?)
 反射的に避けようと動いたのだが──貴方の動きに合わせて、影自体も軌道を修正してくる。
 がっ、と。
 避けきれず、衝突。肩のあたりにちょっとした衝撃が走り──

「ね、ちょっと、助けてよ!」
 切羽詰まった声。慌てて視線をそちらへ向けると、肩にしがみつくように張り付いている、体長15センチほどの大きさの、少年とも少女とも取れる人の姿。
 その背中からは、細く伸びる薄い膜のような羽が二枚。透明の絹のようにも見えるそれは南海から吹き寄せる暖かな風に吹かれてゆらゆらと揺れている。
「──妖精!?」
「その通り。んで、俺らはそいつにエライ目にあわされた訳だ」
 思わず叫んだ貴方の声に、意外な場所からの返答。
 前を見れば、恐らくこの妖精を追ってきたらしい、息を切らせた男が二人。手に武器を構え、顔には怒りの形相。

「なるほどな、お前さんがそいつの飼い主かい。んなら、アンタに責任とってもらうか!」
 言い捨て、突然襲いかかってきた!

vs 追いかける者

小柄な男
30/30
長身の男
25/25
はいど。
100/100
小さな妖精
20/20 飛行
はいど。の攻撃!
長身の男は10ダメージ!
小さな妖精の攻撃!リトゥエクラッシュ!
長身の男は6ダメージ!
小柄な男の攻撃!
はいど。は13ダメージ!
長身の男の攻撃!
小さな妖精は2ダメージ!
小柄な男
30/30
長身の男
9/25
はいど。
87/100
小さな妖精
18/20 飛行
はいど。の攻撃!
小柄な男は10ダメージ!
小さな妖精の攻撃!リトゥエクラッシュ!
長身の男は5ダメージ!
小柄な男の攻撃!
小さな妖精は2ダメージ!
長身の男の攻撃!
はいど。は12ダメージ!
小柄な男
20/30
長身の男
4/25
はいど。
75/100
小さな妖精
16/20 飛行
はいど。の攻撃!
長身の男は11ダメージ!
長身の男は倒れた!
小さな妖精の攻撃!リトゥエクラッシュ!
小柄な男は5ダメージ!
小柄な男の攻撃!
はいど。は12ダメージ!
小柄な男
15/30
はいど。
63/100
小さな妖精
16/20 飛行
はいど。の攻撃!
小柄な男は10ダメージ!
小さな妖精の攻撃!リトゥエクラッシュ!
小柄な男は4ダメージ!
小柄な男の攻撃!
はいど。は13ダメージ!
小柄な男
1/30
はいど。
50/100
小さな妖精
16/20 飛行
はいど。の攻撃!
小柄な男は9ダメージ!
小柄な男は倒れた!
win

 
「いやぁ、もぅ、ホント助けてくれるんだもん、ありがと!」
 街の大通りを歩く貴方。その頭に張り付いた小さな妖精が、上機嫌で呟く。
 にこにこと笑う彼女──らしい──に、貴方は軽く吐息。先程、場の勢いに飲まれて助けたまでは良かったのだが、この妖精、一向にこちらから離れる気配が無いのだ。
 その小さな妖精は、こちらが尋ねている訳でもないのに、先程から自分の身の上を延々話し続けている。元々彼女は行く宛もなく五王朝中を旅をしているらしく、このテュパンに訪れたのも気まぐれ以外の何物でもないのだとか。先程男に追われていた事にしても、よくよく彼女の話を聞いてみれば、どうやら先程の男達にしたちょっとした悪戯がバレて、追いかけられていたのだとか。
「だってあいつら、態度でかいんだもん。周りの人達とか嫌がってたし」
 妖精は憤慨した様子でぶつくさと呟く。
(少々、悪いことをしてしまっただろうか?)
 先程倒した男達の悲惨な様子を思い浮かべ、苦笑。
「でさ、貴方、どこ行く予定なの? 私、何となく南の方行きたいなぁ~、って思ってるんだけど」
 と、頭上からさも当然といった風に声が飛んでくる。
 貴方はひきつった表情を浮かべつつ、頭の上に乗っかっている妖精に、いつまでついてくる気なのか問いただす。
 すると、妖精は小さく唸ってから、ひょいと頭上から前方へと飛び跳ねた。
「いやさ、貴方、こっちにきて間も無いんでしょ? だから私が色々手伝ってあげようかと思って」
 言って、羽を揺らし空中でぴたりと停止。
「……っていうか、私って人間の街中に一人で居ると結構目立っちゃてさ。なんか変な人が寄りついてくるし。だったら街に居なきゃ良いんだけど、『お役目』があってそういう訳にもね。だから誰か適当な人にひっついていけば大丈夫かなって──」
 逆さのまま両腕を組み、自分の言葉に頷きながらぶつぶつと呟いたあと、一転、有無を言わさぬ調子で叫ぶ。
「ま、色々役に立つと思うからさ! いーでしょ?」
 そのままくるりと上下を反転。まっすぐにこちらを見据え、妖精は優雅に一礼。
「私はエルセイドの『月夜に咲く女王』の系譜に連なる観察者、リトゥエ・アルストロメリア。見ての通り、流翼種・フェイアリィ。で、貴方は?」
 聞き返され、反射的に名を答えてしまう。
 リトゥエは、なんか呼びづらい名前だねぇ、と返してから音も無く宙を移動。とん、と貴方の肩に着地して勢い良く叫ぶ。
「よっし。じゃ、いきましょ!」

はいど。はスキル「クルードスタブ」を覚えた!

──See you Next phase──